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【レビュー/書評】予想どおりに不合理(ダン・アリエリー)を読んだ感想

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「予想どおりに不合理」内容

「合理的だ」と判断して行動した結果、非合理的だった。

人間の矛盾した行動を紐解いて、実験結果と照合して説明してくれている本。

 

  • 電気ショックによる痛み実験で、安い薬と高い薬の効果を試す実験にて、同じ薬でも高価な薬の方が効くと答えた人が半数以上も多くなった。

 

  • 動物の写真を見せた後に「コ〇ラ」というカードを見せ、丸の中に何が入るかと聞けば大多数は「コアラ」と答えるが、同じカードを自販機の前で見せると「コーラ」と答える人が多くなる

 

  • 1粒25円の良いチョコと2円の普通のチョコどちらが売れるかの実験。25円を23円に、2円を0円にとどちらも同じ「2円割引」を適用した結果、0円になった普通のチョコの選択率が急増した。

 

ここに挙げているのはほんの一部ですが、これらの内容を見るだけでも面白そうな本だと思いませんか?

 

マーケティングに関する興味深い内容も実験結果を元に説明してくれているのでとてもわかりやすいです。

 

しかし、文章が少し多いというのと、内容がちょっとだけ難しいところもあるので読書が苦手な人はもしかしたら少しだけしんどく感じるかもしれません。

 

私の場合は、読書はそこまで得意ではありませんが、これぐらいの内容、ページ数であれば苦にならないかなと感じました。

 

私が読んだ際にメモした文章

私が箇条書きでメモした内容をそのまま記載します。

本当にそのままなので分かりづらい文章もあるかと思いますが、その点はご了承ください。

 

 

  • エコノミスト誌のウェブ版59ドル、印刷版125ドル、ウェブ版と印刷版のセット125ドルの値段の違いの例。

〇マサチューセッツ工科大学100人でどれを購入するかの検証。

・ウェブ版だけの購読 16人

・印刷版だけの購読   0人

・印刷版とウェブ版のセット 84人

 

〇「印刷版だけの購読」の項目を消した場合

・ウェブ版だけの購読 68人

・印刷版とウェブ版のセット 32人

 

ウェブ版と印刷版どちらを選ぶかは少し考えないと決められないが、印刷版とセット版では明らかに後者が優っている。

マーケティングの担当者は私たちが悩まなくて済むようにしてくれたわけだ。

 

  • 人間は物事を絶対的な基準で決めることはまずない。
    他のものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する。

 

  • 人は、異なる選択肢の価値を見積もるのが苦手である。

 

  • 人は、選択肢が三つあると、たいていの人が真ん中を選ぶ。

 

  • 飲食店のメニューで、値の張るメイン料理メニューを載せると、それを注文する人がいなくても、レストラン全体の収入が増える。

 

  • 三つの選択で一つを選ばせたい場合、「A.A’.B」という形で選ばせたい選択肢に似て、且つその選択肢よりも少し劣った選択肢を提示することで比較対象ができ、その結果AがBよりも良く見えて(不合理だが)Aを選びやすくなる。

 

  • パン焼き器を売り出したが全く売れなかった。
    解決策として、新モデルのパン焼き器、少し大型で値段は1.5倍という商品を売り出した。すると、旧型の方が飛ぶように売れだした。

 

  • 人に何かを欲しがらせるには、それが簡単には手に入らないようにすれば良い。

 

  • アンカリングテスト「ある物への価格と保険番号の下2桁」
    全く知識のない物へ「いくらの値段なら買っても良いか?」と聞く実験。自身の保険証番号の下2桁(ドル計算)の値段で買っても良いか?と聞き、NOと答えた人に「じゃぁいくらなら買っても良いか?」と再度訪ねると、下2桁の番号が大きい数字の人の方が、少ない人に比べ、多く出しても良いと答えた人が多かった。

 

  • ダンキンドーナツとスターバックスのアンカリング。
    スターバックスは入店の経験が他とは違ったものになるようにやり、他とはかけ離れた経験にすることで新しいアンカリングに成功した。

 

  • トムソーヤの冒険
    雑用のペンキ塗りをとても面白くてたまらないフリをして友達を丸め込み、塀塗りをするために友達がトムにお金を払い始め、その作業自体を本当に楽しむようになる。

 

  • 自分の決断が本当は直感、つまり胸の奥底で望んでるものから来ている場合、私たちはときに、その決断が合理的に見えるように仕立てたくなるということ。

 

  • 一粒25円の良いチョコと2円の普通のチョコどちらが売れるか。
    そして、2円値下げした場合、無料になった方の選択率はどうなるのか。
    →急増した。

 

  • 人間は、無料だけの選択肢の場合だと理に叶っている場合が多いが、無料とそうでない物との板挟みになった場合、無料のせいでまずい決断を下してしまいやすい。

 

  • 無料を選ぶ理由は、失うことを本質的に恐れているから。
    無料であれば目に目えて何かを失う心配は無い。
    無料でないものを選ぶと、まずい選択をしたかもしれないという危険性がどうしても残る。だから、どちらにするかと言われれば、無料の方を選ぶ。

 

  • Amazonは本を一冊購入すると送料がかかるが、二冊目を買うと送料が無料というサービスを始めた。
    人によっては二冊目は別に欲しい本ではないのに配送料無料を利用したいがために追加の本を購入してしまう。
    (フランスでは無料ではなく1フランにしたところ、そこまで売り上げが変わらなかった。
    が、無料に変更した途端売り上げは急増した。)

 

  • 美術館の入場料はそれほど高くないのに、無料の時に行こうかなという気になる。
    そして行ったところ、同じ考えの人で館内は混雑し、満足に展示物を見ることができない。

 

  • 社会規範→友達同士の頼み事などのほのぼのした世界。
    他人のために何かをし、見返りを求めない世界。

 

  • 市場規範→賃金、価格、賃貸料、利息などのシビアな世界。

 

  • 市場規範のなかにいるときは、支払った分に見合うものが手に入る。

 

  • 社会規範と市場規範を別々の路線に隔てておけば、人生は順調に行く。

 

  • 人は、お金の絡まない社会規範の方が熱心に動く(働く)。

 

  • 一旦社会規範の中に市場規範が入り込むと社会規範は消えてしまう。

 

  • プレゼントとして何か物を渡すぐらいであれば、社会規範から市場規範に切り替わる事はない。

 

  • ただ、プレゼントの値段を明かした上で渡した際は市場規範の世界に切り替わる。

 

  • 市場規範で(お金について)考えて行動すると・独立独歩
    ・利己的
    ・一人きりで過ごしたがるという特徴が出てくる。

 

  • 確かに、高価なプレゼントの値段を相手に正しく認識されず安く見られるかもしれない。それでも値段は言うべきではない。安く見られたとしても、それは人間関係を特別な領域(社会規範)に留めるための、社会規範から遠ざけておくために支払わなければならない金額なのだ。

 

  • 有料のキャラメルと無料のキャラメル実験。
    無料のキャラメルは、立ち寄った人数は三倍ほどに増えたが、持っていく数は1/3に減った。
    やりとりに金銭が絡まないとき、人間は利己的追求をせず、他者の幸せを気にし始める。

 

  • もっとも聡明で合理的な人でも、情熱の真っ只中では自分が思っている自分とは完全にすっぱり切り離されてしまう。
    いかに良い人であろうと、情熱(性的興奮)が自分の行動に及ぼす影響を甘く見ている。

 

  • 自分は今、「ジキル」か「ハイド」かを考える。
    「ハイド」の場合、冷静な判断ができない状態のため、1人の時間を取る、散歩に行くなどの対応を取らなければならない。

 

  • 二つのものごとの類似点と僅かな相違点に注目している(迷っている)ときに気をつけるべき点は「決断しないことによる影響」を考えに入れること。
    →類似したデジタルカメラをどちらにするか選択するのに三ヶ月迷った結果、三ヶ月間取る機会を失ったという例。
    さらに重要なのは、二つのものごとの類似点と僅かな相違点によって生じる差もほんのわずかであるということだ。

 

  • 知識(情報)が後か先かで経験(味覚や知覚など)が変わる。
    よって、知識は単に知らせるだけの役目しか果たさないわけではないということ。

 

  • マーケティングは、情報を提供することで、予測される喜びを高め、ひいては本当の喜びも高めようというわけだ。

 

  • 老齢に関する乱文構成課題により、課題を終えた後の廊下の歩くスピードがかなりゆっくりになった。

 

  • プライミング効果→
    動物の写真を見せた後に「コ◯ラ」というカードを見せ、丸の中に何が入るかを聞かれたとき多数はコアラと答える。
    しかし、自販機の前で同じカードを見せて質問しても、コーラと答える人が多くなる。

 

  • 電気ショックによる痛み実験で、安い薬と高い薬の効果を試す実験にて、価格こそ違うが内容は一緒の薬でも、価格が高い薬のほうが効くと答えた人の方が半数以上も多かった。→プラセボ効果

 

  • 人間は薬となると、支払った分に見合うものが手に入ると考える。
    価格は経験を変化させる。

 

  • 私達は割引きしてもらうたびに、受ける恩恵が小さくなる。
    不合理な直感に頼っている限りこの運命からは逃れられない。

 

  • 割引きされていると、直感的に定価のものより品質が劣っていると判断してしまう。
    そして、本当にその程度の物してしまう。

 

  • 共同基金(公共財)ゲーム
    四人のプレイヤーに10ドル配る。
    儲かるチャンスとして、共同基金に出資することができる。
    基金に集まったお金は2倍にし、それぞれの出資学に関係なく、4人に均等に分配する。
    全額出資すれば全員が最大限得をするのに、誰かはズルをし、少ししか出資しないという検証。→共有地の悲劇

 

  • 世界を見回すと、たいていの不正行為は現金から一歩離れたところで行われている。
    不正行為は、現金から一歩離れたときにやりやすくなる。

 

  • 目の錯覚に引っかかるのをどうすることもできないように、心が見せる決断の錯覚にもころりと騙されてしまう。

 

  • 伝統的な経済学では、人々は常に合理的で、完全な情報と計算能力を持っていて、常に自分の満足度を最大に行動していると考えられてきた。

 

  • 私たちの意思決定は、論理的な思考の結果や確率計算に基づくものではなく、代表的なものに依存してしまう「代表性」、想起しやすいものに依存してしまう「想起性」、最初に無関係な情報を与えられると、その情報に依存してしまう「アンカリング」、絶対的なものから満足度を感じるのではなく、相対的なものから満足度を感じてしまう「相対性」などに強く影響される。

 

一番心に残った内容/名言

人間は物事を絶対的な基準で決めることはまずない。
他のものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する。

 

私の感想

私の中でTOP3に入る良書です。

 

どの話に於いても、実験結果を元に説明してくれているのでとてもわかりやすいです。

そして、興味の惹かれる実験ばかり。

 

この実験対象として選ばれているのは、私のような一般人よりも学のある

「マサチューセッツ工科大学の生徒達」

です。

 

このことから、頭が良いから必ず合理的なアクションを取るというわけではない、という事を証明しています。

 

人に3つの選択肢から1つを選ばせたいとき、選ばせたいものと比較すると少し劣っているものを比較対象に入れることで、選ばせたいものの価値を上げることができるというのはマーケティングでも役立つ知識ではないでしょうか。

 

又、これらの情報を前以て知っておくことで、自身が不合理な行動を選択してしまうことを抑制することにも繋がります。

 

あなたが当たり前に置いてるその”基準”、本当に合ってますか?

 

仕事、プライベートに於いてもとても有益な情報が詰め込まれた一冊なので是非とも読んでみてください^^

 

 

 

最後まで目を通していただきありがとうございました。